SAP OSSの問い合わせを最速で解決に導く6つの方法

SAP導入プロジェクトでSAP OSSに一回も問い合わせをせずに終えたというプロジェクトは皆無だと思います。
SAP OSSに問い合わせる時はSAP標準の不具合の可能性が高く、プロジェクトメンバーではどうにも解決できない問題であるため、これを迅速に解決できるということはそれだけで非常に価値が高いことになります。

本記事ではSAP OSSに100件以上問い合わせた経験からSAP OSSの問い合わせを最速で解決に導く方法について解説します。

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目次

SAP OSSとは

SAP OSSとはSAP Online Service Systemの略称で、SAP製品に関する問い合わせ窓口のことです。

SAP OSSはSAP Support PortalというSAP公式サイトであり、このサイトからSAP製品の問い合わせを行います。
SAP Support PortalはSAP Noteの検索、SAPソフトウェアのダウンロード、製品マニュアルの照会をすることができ、問い合わせするためには専用のユーザ(通称:Sユーザ)が必要となります。

SAP OSSの問い合わせを早急に解決に導くことの重要性

なぜSAP OSSへの問い合わせを早急に解決に導く必要があるのでしょうか?

それはSAP OSSとのやり取りは時間がかかり、プロジェクトがズルズルと遅延していくリスクがあるからです。

通常、プロジェクトが遅延した場合は新規要員をアサインする、既存要員に残業させるなどで遅れを取り戻しますが、SAP OSSのやり取りに嵌ってしまうと、これらの手法でも遅れを取り戻すことができません。
SAP標準の不具合である場合、プロジェクトメンバーでは手出しできない領域のため、SAP OSSに早急に問題を解決してもらう必要があります。

SAP OSSの問い合わせを最速で解決に導く6つの方法

前章ではSAP OSSの問い合わせを早急に解決に導くことの重要性についてお話しました。
この章では実際にSAP OSSの問い合わせを最速で解決に導く6つの方法をご紹介します。

【その1】優先度(Priority)を適切に選択する

SAP OSSに問い合わせる際には、最高(Very High)、高(High)、中(Medium)、低(Low)の中から優先度を選択して問い合わせを実施します。
優先度:最高(Very High)は本番機が停止している、または、本番機で重要な機能が動作しないなどビジネスに重大な影響を与える場合にしか選択できませんので、本番稼働前のプロジェクトフェーズで選択することはありません。 
ですので、プロジェクトの進捗に大きな影響を与える問題の場合は「優先度:高(High)」を選択して下さい。
優先度:最高(Very High)ほどではありませんが、中(Normal)に比べて圧倒的に対応が早くなります。

【その2】コンポーネント(Component)を適切に選択する

モジュールを適切に選択している方は非常に多いのですが、サブモジュールまで意識して選択しているという方となると、非常に少ないのが現状です。
モジュールの選択を誤ると、SAP OSS側で担当の変更が発生し、無駄なオーバーヘッドが発生しますので、問い合わせする際は適切なコンポーネントを選択する必要があります。

ではどうやって適切なコンポーネントを選択するのでしょうか?

エラーが発生しているプログラムが属するパッケージからどのコンポーネントに該当するのか確認することができますので、問い合わせする際は必ずパッケージのコンポーネントを確認するようにして下さい。

【その3】英語で問い合わせる

なぜ英語で問い合わせを行うべきなのでしょうか?

それはSAP OSSが海外にサポート拠点を構えているからです。
コンポーネントにもよりますが、一次受けが中国、二次受けはドイツのようになっているケースが非常に多いです。
つまり、あなたが日本語で問い合わせをすると、二次受けまでエスカレーションされたと仮定した場合、

 1.あなたが日本語で一次受けに問い合わせる
 2.一次受けが日本語を英語に翻訳し、二次受けに英語でエスカレーションする
 3.二次受けが問題を調査し、一次受けに調査結果を英語で回答する
 4.一次受けが英語から日本語に翻訳し、あなたに日本語で回答する

この場合、翻訳のオーバーヘッドが発生すること、日本語→英語→日本語で伝言ゲームが発生しいつの間にか間違った内容で伝達されてしまう可能性があることから、SAP OSSには英語で問い合わせることをオススメします。
中には英語が苦手という方もいますが、Google翻訳で充分ですので、英語で問い合わせすることを心がけて下さい。

【その4】再現手順やログ/トレースファイルを送付する

アプリの問題の場合、再現手順の画面キャプチャを取得してSAP OSSに送付する方も多いと思いますが、この時に英語でログインした状態で画面キャプチャを取得するようにして下さい。
日本語の画面キャプチャの再現手順を送付しても、日本語に慣れていない海外の方(特に二次受け)だと事象を正しく把握することができない可能性があります。

また、SAP Basisの問題の場合、再現手順があればアプリと同様に再現手順を送付しますが、再現手順が無い場合に必要となるのがログ/トレースファイル(例:ジョブログ、ショートダンプ、システムログ、ワークプロセスのログ、STADログ)です。
特に、Work配下にあるワークプロセスのログはSAP OSSが解析する時に非常に重要になるため、必ず送付しましょう。

この時に注意する点があります。
SAP OSSからログの提供を後から依頼される場合がありますので、ログローテーションでログが消えないように、障害が発生した時点でログを取得・退避するようにして下さい。

【その5】不具合であることを主張する(質問や相談はNG)

他の方の問い合わせを見ていると、SAP OSSに「どうして○○が動作しないのか」、「○○を実現するためにはどうしたら良いのか」という質問や相談をしている問い合わせを数多く目にします。

日本製のソフトウェア保守サポートを契約を結んでいる場合は問い合わせ窓口にこういった質問や相談をしてもある程度回答して頂けるのですが、基本的にSAP OSSは製品の不具合に関するお問い合わせしか受け付けません。
SAP OSSに質問や相談をすると、「本問い合わせはコンサルティングサービスになります」という決まり文句が返ってきますので、必ず不具合であることを主張するようにして徹底して下さい。

【その6】お客様からSAP営業経由でSAP OSSにプッシュする

最後にご紹介する方法は最終手段であり、最後の切り札です。

上記5つの方法を駆使してSAP OSSに問い合わせをすれば、早々に回答を頂き問題を解決に導くことができるのですが、不具合かどうかグレーだったり、問題に再現性が無いなど、問い合わせのやり取りが膠着し、長期化するケースがあります。

通常、SAP OSSに問い合わせするのはコンサルタントであり導入ベンダー側ですが、こういう状態に陥った場合はSAPを導入するお客様側からSAP営業経由でSAP OSSにプッシュすることで、SAP OSSの動きが良くなるケースがあります。
この方法は少々荒っぽい力技ですので、最後の切り札ということで無暗に連発しないようにする必要があります。

まとめ

SAP OSSにはプロジェクトメンバー以上にその道に精通している技術者が多数在籍しており、そんな素晴らしいリソースをプロジェクトメンバーのようにしかも無料(お客様は保守費を支払っていますが)で活用することができますので、これを有効活用しない手はありません。
SAP OSSを有効に活用することがプロジェクト成功の要になりますので、今回ご説明したSAP OSSの問い合わせを最速で解決に導く6つの方法を実践に移して頂ければと思います。

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