SAP Basisの認定資格の種類やオススメのトレーニングを紹介

SAP ERP 6.0の保守期限が2027年に迫っていることもあり、SAP認定コンサルタントの需要はますます拡大しています。
SAP認定コンサルタント資格を取得するためには、以前は1回約5万円の受験料を支払い、受験会場へ足を運ぶ必要がありましたが、現在はCertification Hubと呼ばれる1年間有効なサブスクリプション型(最大6回受験可能で約6万円)でリモートで受験できるようになり、SAP認定資格を取得するための敷居も低くなっています。

本記事では、これまでSAP Basis業務に携わってきた方はもちろんのこと、これからSAP Basisの認定コンサルタントを目指す方を対象に、SAP Basisの認定資格や種類、また、オススメのトレーニングについて詳しく解説していきます。

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目次

SAP Global Certificationの種類

SAP認定コンサルタント資格に合格することで、Sユーザと呼ばれるSAP社が発行するSAP Support Portalにログインできるユーザが取得でき、SAP Notesなどの技術情報を閲覧できるようになります。
また、SAP社はパートナー企業ごとの認定資格取得者数(*)を月次で公開しています。
* 最新の認定試験リリースを含む2世代前までをカウント対象に認定資格者数が10名以上のパートナー企業を掲載

SAP認定コンサルタント資格(SAP Global Certification)は大きく分けて3種類の認定資格があります。

分類説明
アソシエイト認定資格各コンポーネントや領域の基本的な知識要件を求められます。
スペシャリスト認定資格統合コンポーネントの具体的な役割(HANAでのABAP開発、SAP導入方法論、S/4 HANAへのマイグレーションなど)に焦点を当てた専門的な知識が求められます。
プロフェッショナル認定資格SAPソリューションに関する理解に加え、プロジェクト経験やビジネスプロセスに関する知識が求められます。

2021年2月20日時点で提供されている認定資格を確認したところ、アソシエイトは144種類、スペシャリストは9種類、プロフェッショナルは5種類の認定資格が提供されています。

内容が同一でもリリースごとに異なります。
最新バージョンの場合、日本語翻訳がされておらず、英語形式のみでの提供の可能性があります。
また、同一リリースでの受験は最大3回までという制限があることにも注意してください。

SAP認定資格は、こちらの記事でも解説していますので、こちらも合わせて読んでみてください。

SAP Basisの認定資格とは!?

SAP Basisの認定資格取得には王道のステップがあります。
まず、SAP Certified Technology Associate – System Administration (DB) with SAP NetWeaver X.X を取得することが最重要であり、この資格なくしてこの先の資格取得はありません。
今回はこの基本となる資格とその後に取得すべき応用となる資格の2つの認定資格について解説していきます。

C_TADM55A_75 – SAP Certified Technology Associate – System Administration (SAP HANA) with SAP NetWeaver 7.5

SAP Basisの基本になる本資格は業務を遂行する上で必要となるほとんどの知識をカバーすることができます。

  • SAP HANAのアーキテクチャ、インストールや監視
  • Application Server ABAPやApplication Server Javaのアーキテクチャ設計からインストール
  • パッチ適用やクライアントコピー
  • 移送管理やユーザ管理
  • SAP Fiori

システム管理の試験はDBごとに分かれており、2021年2月現在ではSAP HANAとSAP ASE(旧Sybase)があります。SAP S/4 HANAを見据えるとSAP HANAでの資格取得を目指しましょう。
クラス形式でのトレーニングに換算すると25日分の講習となるため、出題範囲は非常に幅広いものとなりますが、2・3年程度のSAP Basis業務経験があれば取得可能な認定資格となります。
ただし、業務では扱わないような内容も出題されるため、後述するトレーニングで苦手分野をカバーする必要があります。

C_TADM70_21 – SAP Certified Technology Associate – OS/DB Migration for SAP NetWeaver 7.52

SAP Basisの応用となる本資格は本番機のデータをコピーしたテスト環境を構築する(システムコピー)、ハードウェアリプレースなどに伴いOSやDBを変更する(マイグレーション)場合に求められる資格となります。

運用作業の一環でシステムコピーによる定期的なリフレッシュ作業を実施しているという方もいるかと思います。
本資格では、システムコピーやマイグレーションの時間短縮手法、チューニング方法、トラブルシューティングなど、より高度で応用的な知識が必要となるため、一段階上の知識を習得したい方にとっては目指す価値があります。

SAPが提供するトレーニング・研修例

一昔前はSAP認定コンサルタント資格を取得するためには、SAP社が開催するオフラインでのトレーニングに参加する必要があり、トレーニングコースは最低1週間、最大で約1ヶ月間かかるため、担当業務を調整して時間を確保するとともに、非常に高額なトレーニング費用を負担する必要がありました。

現在ではオンラインで空いている時間に自分のペースに合わせて学習する環境も整ってきましたので、ここからはどのような学習方法があるのかご紹介していきたいと思います。
また、SAP Basisのおすすめ学習方法は、こちらの記事で解説していますので、こちらも合わせて読んでみてください。

インストラクターによる学習

インストラクターによる学習には、SAP社が提供しているクラスルーム(バーチャルクラスルームを含む)形式のトレーニングパートナー企業に依頼して講師を派遣してもらい開催するトレーニングなどがあります。

SAP社の各認定資格のページに必要となるトレーニングが記載されています。
SAP社開催のトレーニングは開催日が決まっているため、予め開催日を確認の上、業務調整をしておく必要があります。

例えば、C_TADM55A_75(NetWeaver 7.5/SAP HANAのシステム管理)の取得に必要となるトレーニングは下記となります。

  • TADM10(SAPシステムの技術実装と運用Ⅰ) 10日間で約60万円
  • TADM12(SAPシステムの技術実装と運用Ⅱ) 10日間で約60万円
  • TADM55(SAP HANAのインストールと管理) 5日間で約30万円

ただし、上記は受験のための必須受講科目ではありません。
自分自身が苦手とする分野や重点的に学習したい分野はクラスルームでの学習を選択し、その他は後でご紹介する学習方法でカバーするなど、習熟度とお財布のバランスも考えながら学習していきましょう。

SAP Learning Hubを活用した学習

SAP社は最新スキルの習得のためにオンラインの学習プラットフォーム(SAP Learning Hub)を提供しています。
都合が良い時間に、自分のペースで、自身の業務分野やスキルに合わせ学習が可能となります。

オンラインで都合が良い時間に学習すると聞くと、講師とインタラクティブなやり取りができず、本当に習熟できるのか疑問を持つかもしれません。
SAP Learning HubではSAP Learning Roomというバーチャル空間が用意されており、エキスパート(講師)とのやり取りが可能となっているため、疑問点などをすぐに質問することが可能となっています。

基本的に月額のサブスクリプション型で提供されており、3つのエディションから自身が必要となるものを選択できます。

プラン説明
Business Edition受講対象のコンテンツをマイペースに学習が可能。
SAP Learning Roomを活用して、エキスパートへのQ&Aが可能。
Solution Editions8つのソリューションから1つを選択し、その分野のコンテンツをマイペースに学習が可能。
SAP Learning Roomを活用して、エキスパートへのQ&Aが可能。
ハンズオン環境となるSAP Live Accessに60時間アクセスが可能。
Professional Edition全SAPソリューション領域のコンテンツをマイペースに学習が可能。
SAP Learning Roomを利用して、エキスパートへのQ&Aが可能。

インストラクターによる学習では期間が限られており、期間内にすべての知識を習得することが難しいこともあるため、自分自身のニーズにあったエディションを選択して、最小限のコストで最大限の学習効果を出すことが可能となります。

SAP社の書籍を活用した学習

SAP社が発行する書籍を利用することで、SAP認定コンサルタント資格のための学習をするという方法もあります。
1冊の価格としては高価に感じるかもしれませんが、高額なトレーニングに比べれば、安価に知識習得が可能となります。
ただし、すべて英語で書かれているため、英語が苦手な方は翻訳サービスを活用しながら読む必要があります。

今回はSAP社が発行する書籍の中から、「SAP NetWeaver AS ABAP – System Administration」をご紹介します。
この書籍はApplication Server ABAP関連でSAP Basis担当が必要とされる内容が網羅的かつ体系的に記載されていますので、SAP Basis初級者が学習するためには最適な内容となっています。

グランパスコンサルティングのSAPトレーニングをご検討ください

SAP Basisの認定コンサルタント資格は他の領域に比べて範囲が広く、何から手をつければよいのか、どのように学習すればよいのか分からないといったことに陥ってしまう可能性があります。
そのため、自分自身の習熟度、金銭状況、学習ペースに合わせて、今回ご紹介した学習方法を取捨選択する必要があります。

グランパスコンサルティングでは、SAP認定コンサルタント資格取得で培った基礎知識を活用して、一段階上のコンサルタントを目指すためのトレーニングマテリアルを体系的に揃えていますので、ぜひ弊社のトレーニングを活用してみてください。

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