SAP Basisが利用するトランザクションコード一覧
SAPのトランザクションコードを英語に例えると、トランザクションコードは英単語に該当します。
英単語を暗記しただけでは英語の試験に合格できないように、トランザクションコードをたくさん覚えてもSAP認定コンサルタント試験に合格できるわけではありません。
また、英語の「operate」のスペルを覚えても、「operate」にどういう意味があるのか、どういう時に使用するのかを理解していないと意味が無いように、トランザクションコードの「SM21」というコードを覚えても、これがどういう機能で、どういう時に使用するのか理解していないと業務では全く使えません。
それではトランザクションコードを覚えることに意味は無いのでしょうか?
英単語を覚えなければ英語が理解できないように、トランザクションコードを覚えなければ、SAPの技術は身に付きません。
英単語の学習と同じように、トランザクションコードもコツコツ学習していく必要があります。
本記事ではSAPにおけるトランザクションコードとは何なのか、SAP Basisがよく使うトランザクションコードの一覧とその機能概要について解説していきます。
SAPにおけるトランザクションコードとは

トランザクションコードとは処理を実行するプログラムを直接呼び出すコマンドのことです。
SAPで処理を実行する場合はプログラム名を指定して呼び出す必要がありますが、利用者にとってプログラム名は長く、複雑で、覚えにくい名前になっています。
簡単にプログラムを呼び出せるようにWindowsのショートカットキーのようなコマンドを設定することで、トランザクションコードを実行すると、該当処理を実行するプログラムが一発で起動します。
SAP標準のトランザクションコードは、ユーザ管理用の処理であればSU○○というように、モジュールや用途に応じてネーミングルールで設定されており、コマンドを覚えやすくする工夫がされています。
SAPのトランザクションコードの登録・確認方法
トランザクションコードの登録はトランザクションコード:SE93から行います。
トランザクションコード:SE93からトランザクションコード名とプログラム名を紐づけて設定することで、トランザクションコードを実行時にプログラムが自動的に起動するようになります。
また、トランザクションコード:SE93はトランザクションコードを登録するだけでなく、確認方法としても活用できます。
トランザクションコード:SE93のヘルプから実行する機能概要名を入力したり、SU始まりのトランザクションコードの一覧を表示することで、どういうトランザクションコードがあるのか確認することができます。
SAP Basisが利用するトランザクションコード一覧

トランザクションコードはモジュールや用途ごとにネーミングルールが決まっており、まずはこれを覚える必要があります。
ここからはSAP Basisがよく利用するトランザクションコードを用途ごとに分類して解説していきます。
システム管理用トランザクションコード
システム管理用トランザクションコードはSMから始まります。
| トランザクションコード | 機能概要 |
|---|---|
| SM01 | 特定のトランザクションコードを使用できないようにロックする機能 |
| SM02 | システムにログインするユーザにメッセージを送信する機能 |
| SM12 | データベースのロックを管理する機能 |
| SM13 | 更新レコードを管理する機能 |
| SM19 | セキュリティ監査設定を管理する機能 |
| SM20 | セキュリティ監査ログを分析する機能 |
| SM21 | システムログを確認する機能 |
| SM36 | SAP標準ジョブを管理する機能 |
| SM37 | SAPジョブを管理する機能 |
| SM50 | ワークプロセスを確認する機能 |
| SM56 | 番号範囲バッファを管理する機能 |
| SM59 | RFC宛先を管理する機能 |
| SM69 | 外部OSコマンドを管理する機能 |
クライアント管理用トランザクションコード
クライアント管理用トランザクションコードはSCCから始まります。
| トランザクションコード | 機能概要 |
|---|---|
| SCC1 | 未リリースの移送依頼を特定クライアントにインポートできる機能 |
| SCC3 | クライアントコピーのログを照会する機能 |
| SCC4 | クライアント設定(カスタマイジング/リポジトリの変更可否など)を管理する機能 |
| SCC5 | クライアントを削除する機能 |
| SCC8 | クライアントをエクスポートする機能 |
| SCC9 | リモートクライアントコピーを実行する機能 |
| SCCL | ローカルクライアントコピーを実行する機能 |
ユーザ管理用トランザクションコード
ユーザ管理用トランザクションコードはSUから始まります。
| トランザクションコード | 用途 |
|---|---|
| SU01 | 単一ユーザの登録/変更/削除、権限の追加/変更/削除、パスワードの初期化ができる機能 |
| SU10 | 複数ユーザの登録/変更/削除、権限の追加/変更/削除、パスワードの初期化ができる機能 |
| SU53 | 権限チェックでエラーになった権限オブジェクトを確認する機能 |
負荷分散用トランザクションコード
負荷分散用トランザクションコードは下記の通りとなります。
| トランザクションコード | 機能概要 |
|---|---|
| SM61 | ジョブ実行サーバの負荷分散を図るジョブサーバグループを設定する機能 |
| SMLG | ユーザログオンの負荷分散を図るログオングループを設定する機能 |
| RZ12 | RFC処理の負荷分散を図るRFCサーバグループを設定する機能 |
まとめ

本記事ではSAP Basisが良く使うトランザクションコードに絞って解説しましたが、グランパスコンサルティングでは実践で役立つトランザクションコードやその使用方法などを実務に即した形で学習できるトレーニングを多数揃えておりますので、ぜひ弊社のトレーニングサービスも活用してみてください。

