SAP HANAとは!? 機能や導入メリットを解説

SAP HANAは、SAP社が提供しているデータベース製品です。
従来のデータベースはハードウェア上でデータの書込・読込をしていましたが、SAP HANAはインメモリーデータベースとしてメモリー上でデータの処理を行うことが特徴で、従来のデータベースより10~100,000倍の速度でデータ処理ができます。
近年、ビッグデータ分析の重要性が叫ばれている中、データベースの高速化は必要不可欠です。

本記事では、SAP HANAの特徴、導入メリット、S/4HANA(SAP社のERPシステム)との関係について解説していきます。
SAPに関わる方にとって、SAP HANAの特徴を知っておくことは重要ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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目次

SAP HANAとは!?

SAP HANAは、SAP社が提供するデータベースで、2020年5月時点で、世界で32,000社以上の企業が導入しています。
SAP HANAには、以下の特徴があります。

  • インメモリーデータベース
  • カラムストア指向 および データサイズ圧縮
  • 並列処理対応
  • 非構造化データ対応
  • DWHエンジンの搭載 および ビッグデータツールとの連携

SAP HANAは、上記の特徴を有しており、従来のデータベースに比べ、より高速な処理が可能になっています。
SAP ERPのデータベースとして使われるだけでなく、DWH・ビッグデータ解析のためのデータベースとしても使われます。

それでは、1つ1つの特徴について、詳しく解説していきます。

インメモリーデータベースによる実現されるデータ処理の高速化

SAP HANAの一番の特徴は、「インメモリーデータベース」であることです。
従来のデータベースは、ハードウェア上のデータ読込・書込であったため、処理に時間がかかることが課題でした。
しかし、SAP HANAではメモリー上にデータを展開し、メモリー上でのデータ読込・書込を実現可能にしました。
これにより、従来のデータベースよりも10~100,000倍の速度でデータ処理ができるようになりました。

また、メモリーは揮発性であることが一般的ですが、2018年にリリースされたバージョンから、インテルの不揮発性メモリー「Intel Optane DC persistent memory」に対応し、サーバダウン時もSAP HANAのデータを失わない仕様になっています。

カラムストア指向 および データサイズ圧縮

SAP HANAは、カラムストア指向(列指向)のデータベースです。
これまでのデータベースは、ローストア指向(行指向)で、トランザクションの書き込みを重視した特徴でした。
SAP HANAは、カラムストア指向であることにより、データの読み込み(集計・分析など)処理を得意とし、ビッグデータ解析に向いているデータベースと言えます。

また、カラムストア指向であることにより、冗長的なデータ(例えば、トランザクションデータに繰り返し使われるクライアントやプラント)を圧縮して格納する技術を使っています。
そのため、これまでのローストア指向データベースよりも、データサイズを圧縮することができます。

並列処理対応

SAP HANAは、マルチコアCPUの特性を最大限に活かすために、並列化による多重アクセスを実現し、処理の高速化を可能にしています。
SAP ERPでは、大量の業務トランザクションが発生するため、SAP HANAによる並列処理により、高速にトランザクション処理ができます。

非構造化データ対応

SAP HANAは非構造化データにも対応しています。
従来のデータベースでは、テーブル構造化されたデータしか扱えませんでしたが、SAP HANAではドキュメントデータ・グラフデータといった非構造化データを扱うことができます。
これにより、空間分析・グラフ分析・テキスト分析・機械学習といった、幅広い分野での使用が可能になります。

DWHエンジンの搭載 および ビッグデータツールとの連携

SAP HANAは、DWH(データウェアハウス)エンジンを搭載しており、データウェアとしても使用できます。
そのため、これまでSAP ERPで使われてきたOLTP型のデータベースのみならず、OLAPにも対応したデータベースです。
SAP HANAのDWH機能を活用することにより、多次元分析が可能になり、これまで以上に高度な分析が可能になります。
これまではSAP ERPのデータを別DWHにデータを連携し、BIツールと連携していたのが、SAP HANA 1つでできるようになったため、企業のシステムアーキテクチャもこれまで以上にシンプルになります。

また、SAP HANAは、HadoopやRといったビッグデータ解析ツールとの連携も可能です。
SAP HANAはSmart Data Accessという機能が搭載されているため、他ツールとのデータ連携が容易な点も特徴の1つです。

SAP HANAの導入メリット

ここまでSAP HANAの特徴をお話してきましたが、ここからは具体的な導入メリットについて解説していきます。
SAP HANAを導入するメリットは3つあります。

 1.高速データ処理・分析による、経営判断の高速化を実現
 2.データ統合によるITガバナンス整備が可能
 3.自社環境に合わせたサーバ管理方法の選定が可能

それでは1つずつ見ていきましょう。

高速データ処理による経営の高速化を実現

これまでのデータベースでは、データ処理に時間がかかり、リアルタイムなデータを確認するのに、数時間後や1日後、データ種によれば月末にならないと確認できない、といったデータ参照のタイムラグがありました。
しかし、SAP HANAを使うことにより、データを高速に処理することができ、リアルタイムなデータによる高度な多次元分析ができるようになります。
SAP HANAを使用すれば、これまでできなかったビッグデータ解析を行い、多角的にマーケットや企業の状況を把握し、素早い経営判断につなげることができます。

ITガバナンス整備の促進

これまでであれば、リアルタイムなデータが得られなかったため、業務領域ごとにシステムを構築し、インターフェースで各システムのデータを連携するような手法を取る企業がほとんどでした。
そのため、会社横断のデータを確認するには、1日、ないしは月末処理を待たないとデータ確認ができませんでした。

SAP HANAでは、高速データ処理により、リアルタイムなデータを担保することができるため、これまで以上にSAP ERPによる会社業務の全体最適を図ることができます。
これにより、会社内のデータがSAP HANAに統合され、シンプルになるため、ITガバナンスの促進につながります。

オンプレミスとクラウドを選べる

SAP HANAは、オンプレミスとクラウドの両方が選択できます。
オンプレミスであれば、自社要件に合わせたセッティングができます。
しかし、サーバ調達には2、3カ月かかることもあるため、導入のリードタイムを考慮する必要があります。
クラウドであれば、すでにAmazon・Microsoftなどが持つサーバを借りるため、セッティングの時間が1日で完了します。
また、使用ユーザ数が増えてきたり、機能拡張をしたりすると、サーバスペックが足りなくなってきますが、クラウドであれば、サーバスペックをアップしたり、サーバ数を増設したりすることが簡単にできます。

SAP HANAは、オンプレミス・クラウドの両方に対応しているため、自社の環境にあったシステム導入が行えます。

SAP HANAとSAP S/4HANAとの関係

S/4HANAについても、少し解説をしておきます。
SAP HANAとS/4HANA。名前は似ていますが、全く異なるものです。
SAP HANAは、データベースであり、S/4HANAは、SAP社のERPシステムの最新バージョンの名前です。

S/4HANAは名前のとおり、SAP HANAデータベース上で動くERPシステムです。
S/4HANAは、SAP HANAの高速データ処理を享受し、MRPや原価計算など、時間のかかっていたバッチ処理を素早く終わらせることができ、ERPとしてユーザ利用可能時間が長いシステムを実現できています。
そのため、グローバル展開において、1インスタンスで各国のユーザが同時に使用することができ、グローバル化が進む昨今に適したERPシステムと言えます。

S/4HANAについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、気になる方は読んでみてください。

まとめ

ここまでSAP HANAはどんな特徴を持つデータベースなのか、SAP HANAを導入するメリットは何なのか解説してきました。
SAP HANAはこれまでのデータベースと異なり、インメモリーデータベースにより高速データ処理が可能になり、リアルタイムなデータの参照やビッグデータ分析による、素早い経営判断が実現できます。
今後、より一層、鮮度の高いデータによるマーケット・企業の把握は、企業競争力を高める上で、必要不可欠です。

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