SAPに利用できるRPAとは!? 導入効果や導入ケースを解説

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは、パソコンの処理動作を覚えさせ、覚えさせた処理動作をいつでも自動で実行できるようにするツールのことです。
RPAは、業務の自動化に貢献できるため、労働人口減少・後継者不足に悩む日本企業に、2018年頃から広く普及しています。

通常のPC業務(Officeやメールなど)をRPAで置き換えできますが、SAPの操作もRPAが利用できることをご存じでしょうか?
本記事では、どのRPAがSAPで利用できるのか、実際にSAPのどのような業務に活用できるのか解説していきます。

目次

RPAとは

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは何なのかということを、まずはお話していきます。

RPAソフトウェアロボットや仮想知的労働者と呼ばれ、ユーザーのパソコンのデスクトップ作業を代行するツールです。
RPAは記憶させた処理を自動で実行してくれるため、日々の定常業務や繰り返し実行する業務の代替を得意としています。

RPAはソフトウェアであるため、疲れませんし、愚痴も言いません。
そのため、ユーザーの休憩中や深夜・休日でも、処理を実行するように設定するだけで、いつでも自動で業務を遂行します。

従来であれば、このような便利ツールはプログラミングができないと作ることはできませんでした。
しかし、RPAは以下の2パターンの方法で処理動作を覚えさせることができます。

 1. ユーザーのPC動作を記録する

RPAツールの記録開始ボタンをクリックした後、ユーザーがRPAに覚えさせたいPC動作をし、記録終了ボタンをクリックすることで、記録開始~終了の間に処理したPC動作をRPAに覚えさせることができます。

 2. グラフィカルな画面で処理を組み合わせる

どこをクリックする、どんな文字を入力、どれだけ画面をスクロールといったPCの処理動作をパズルのようにグラフィカルな画面で組み合わせて、処理動作をRPAに覚えさせることができます。

RPAによって方法は多少異なりますが、プログラミングができない人でも簡単に作れることがRPAの特徴の1つです。

SAPで利用できるRPA製品とは

ここからはSAPで利用できるRPA製品をご紹介していきます。
SAPで利用できるRPA製品は主にSAP社が販売するSAP Intelligent RPAとRPA業界シェアNo.1のUiPathの2つです。

それでは、それぞれのRPA製品の特徴について解説していきます。

SAP Intelligent RPA

SAP Intelligent RPAは、SAP社が販売するRPA製品で、SAPでは「iRPA」とも呼ばれています。

SAP Intelligent RPAの特徴は大きく3つあります。

 1. 有人実行・無人実行の両方をサポート

SAP Intelligent RPAはユーザーの業務補助(有人実行)と完全業務自動化(無人実行)の両方をサポートしています。
有人実行は、業務プロセスの一部をRPAへ置き換え、ユーザーによるRPAの起動を想定しています。
無人実行は、業務プロセスのすべてをRPAへ置き換え、スケジュールによるRPA起動を想定しています。

 2. AI・機械学習ツールとの連携

ユーザーに設定されたルールベースの業務置き換えだけでなく、AI・機械学習による自動化を実現します。
RPA自身で、AI・機械学習を駆使したPDCAサイクルを回し、完全な業務自動化を想定していますが、ここはまだまだ事例が少なく、これからが期待される技術です。

 3. 事前定義済RPAボットが利用できる

SAP社がSAPをRPAで利用するために、あらかじめいくつかのRPAボット(ベストプラクティス)を用意しています。
例えば、以下のようなベストプラクティスが用意されています。
 ・総勘定元帳転記の自動アップロード
 ・Excelの内容から受注伝票を登録
 ・製造指図に対する作業完了確認

SAP社が用意しているベストプラクティス一覧は、下記のページに掲載されています。

UiPath

UiPathは、RPA業界シェアNo.1のRPA製品です。

UiPathの特徴は大きく3つあります。

 1. 事例が豊富

UiPathはRPA業界シェアNo.1で、他社事例が豊富な点が強みです。
UiPathのさまざまな事例がインターネット上に公開されているため、自社の取り組みの参考になります。
また、UiPathを利用する企業も多いため、サポートが手厚くなっています。
RPA導入直後はトラブルも多いため、サポートがしっかりしていることは導入する側としては安心なポイントです。

 2. さまざまなアプリケーションに利用できる

Windowsアプリケーション、OfficeなどSAP以外のアプリケーションにも柔軟に使用できます。
PC業務は、SAPだけではなく、ExcelやWordなど、さまざまなアプリケーションを使う業務も多々あります。
そのため、UiPathを利用することで、業務プロセスすべてをRPAに置き換えることができます。

 3. SAP向けコンポーネントを利用できる

UiPath社がSAPをRPAで利用するために、あらかじめいくつかのRPAボット(コンポーネント)を用意しています。
SAP Intelligent RPAのベストプラクティスと同じ位置づけのものです。

例えば、以下のようなコンポーネントが用意されています(UiPathのコンポーネントは基本的にBAPIを使用します)。
 ・BAPIを使用した購買発注伝票登録
 ・BAPIを使用した会計伝票登録
 ・BAPIを使用したユーザー登録

UiPath社が用意しているコンポーネント一覧は、下記のページに掲載されています。

SAPのRPA導入効果・メリット

SAPでRPAを利用することの効果・メリットは以下の2つがあります。
 1. 組織全体の業務プロセスの自動化
 2. システム管理者側で自動化プログラム管理ができる

それでは、SAPでRPAを利用することの効果・メリットを1つずつ詳しく解説していきます。

組織全体の業務プロセスの自動化

SAP ERPを導入することにより、業務の標準化ができます。
しかし、今まで部署や事業部によって異なるやり方をしていた業務を標準化・業務改革するのは難しいケースがあります。

そこでRPAを利用することにより、業務をRPAに代替し、組織全体で業務の標準化・自動化をすることができます。
例えば、営業がSAPに請求情報を入力した時点で、経理にメールで連携され、特定のタイミングになると見積書が発行されるようにRPAでプログラムできます。
さらに、EDIで請求業務を行っている場合、見積書の承認フローを回すところまで自動化できます。

システム管理者側で自動化プログラム管理が行える

RPAのデメリットの1つとして、RPAが各パソコン上に配置されるということです。
各パソコン上のRPAは、各人が自分たちの使いやすいようにプログラムの修正・追加をすることができます。
そのため、各パソコン上のRPAは、統一性がなく、IT管理者が不在のため、いわゆる野良RPAだらけの状態になります。

しかし、SAPのために利用するRPAの場合、SAPに入力するためのRPAを1つ用意し、各人が使用するときだけ、そのRPAにアクセスするだけで済むため、RPAのプログラム管理が容易になります。
各部署・事業部共通で使用するRPAとなり、プログラム修正・追加もシステム管理者が行うため、保守性が高まります。

SAPのRPA導入ケース

ここからはSAPの実際にどのような業務でRPAを活用できるかご紹介していきます。

RPAは、以下のようなケースで強みを発揮します。
 1. データ入力代行
 2. データ収集・出力

それでは、SAPのどのような業務でRPAを活用できるか1つずつ詳しく解説していきます。

データ入力代行

RPAは定常的なデータ入力代行を得意としています。

SAPの伝票登録・マスタ登録は、決まった項目に値を入力していきます。
そのため、どんな値を、どの項目に入力するかをRPAに伝えれば、RPAがユーザーに代わってデータ入力してくれます。

どんな値を、どの項目に入力するかはExcelにあらかじめユーザーが入力しておき、RPAが決まった時間になれば、Excelを読み込んでデータ入力するケースが多いです。
入力時に人間のチェックが必要ない伝票・マスタなどに活用できます。

実際には、以下のような流れで処理されます。
 1. ユーザーがExcelに項目ごとに登録する値を入力
 2. RPAがExcelを読み取り
 3. RPAがSAPGUIを開き、SAPにログイン
 4. RPAがトランザクションコードを入力
 5. Excelの値をコピーし、対象の項目に値を貼り付け(入力にはドロップダウンリストのケースもあります)
 6. 次の項目へ移動(項目移動には、項目クリック、タブクリック、メニュー選択などがあります)
 7. すべての項目を入力した時点で保存
 8. 途中でエラーがあれば、エラーログをログ専用ファイルに書き出し
(エラーには、存在しないマスタ値を入力、必須項目が入力されない状態で保存されたなどがあります)

データ収集・出力

RPAはデータの収集から出力といった定常業務を得意としています。

例えば、SAPではRPAがデータ一覧からデータを収集し、Excelに出力といったことができます。
また、収集から出力までの間に、テキストAとBを1つの項目にして出力するなどルールに沿って、データを加工できます。

データ収集では、どのデータの、どの項目を取集するか、RPAに覚えさせておきます。
もしくは、RPA用のユーザーレイアウトを作っておくことで、RPAに収集項目を覚えさせる必要はなくなります。
ユーザーレイアウトを修正するか、RPAを修正するか、保守性を考慮し、開発ルールを決めておくことをオススメします。

データ出力では、どのファイルに出力するか、出力時・出力後にどんな加工をするか、RPAに覚えさせておきます。
Excelにデータを出力するだけもできますが、報告用にグラフを追加するなどのデータ加工もできます。

データ収集・出力は、日中帯でなくてもよいため、夜間に自動でRPAで処理し、朝には完成した状態を作ることも多いです。

まとめ

ここまで、RPAとはどんなツールなのか、SAPで利用できるRPAの特徴、メリット、導入ケースについて解説してきました。
SAP導入プロジェクトでは、SAPの標準機能が業務にマッチしない場合、アドオンするケースがほとんどでした。
しかし、RPAの登場により、アドオンではなく、RPAを選択するケースが増えてきています。

RPAは非常に便利なツールで、非ITエンジニアでも簡単に実装することができます。
しかし、RPAは保守を考慮し、導入しなければ管理が煩雑になるため、プラットフォームから検討する必要があります。

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