クロスアプリケーションとは!? クロスアプリケーションの機能とタスクを解説

SAP ERPには、アプリ共通領域であるクロスアプリケーション(CA)というモジュールがあります。
クロスアプリケーションは、各アプリ領域とBasis領域にまたがるため、誰がやるのか不明瞭なタスクになりがちです。
そのため、クロスアプリケーションについて知っておくと、プロジェクト内で重宝されやすくなります。

本記事では、クロスアプリケーションとは何なのか、クロスアプリケーションの機能とタスクを詳しく解説していきます。

目次

クロスアプリケーションとは

クロスアプリケーションは、CA(Cross Application)モジュールと呼ばれ、全アプリ領域を横断するモジュールで、アプリ領域とBasis領域の中間に位置します。

他のSAPのモジュールについては下記の記事で解説していますので、合わせてご確認ください。

クロスアプリケーションには、主に以下の5つの機能群があります。

#機能群内容
1インターフェースSAPシステムと他システムとのデータを連携する機能
2ジョブプログラムの自動実行を管理する機能
3アーカイブストレージのデータ容量を削減するため、古いデータを外部システムへ移管する機能
4帳票伝票を紙・PDFに出力する機能
5権限ユーザーが利用する機能を制御・管理する機能

クロスアプリケーションは、アプリ横断であり、Basisにも関連する機能であるため、大型のSAPプロジェクトであれば、クロスアプリケーション専属のチームが作られるケースもあります。
しかし、すべてのプロジェクトでクロスアプリケーション専属のチームが作られるわけではないため、アプリ担当でも、Basis担当でも、クロスアプリケーションの内容についてきちんと理解しておくことに越したことはありません。

ここからはクロスアプリケーションの5つの機能について、詳しく解説していきます。

インターフェース

インターフェースとは、SAPと周辺システムとのデータ連携をする機能です。
SAPには、RFC(リモートファンクションコール)という連携プロトコルやIDoc(Intermediate Document)というインターフェース連携の仕組みが標準で用意されています。
インターフェース機能を使うためには、SAP上であらかじめ対向システムの宛先を設定する必要があります。

インターフェースは送信と受信で、大きく考え方が異なります。
送信は、SAPのデータを抽出し、指定のインターフェースフォーマットに合わせて出力します。
受信は、指定のインターフェースフォーマットで送られてきたデータを受け取り、データに不備がないかチェックし、SAPのテーブルにデータを格納します。
インターフェース送受信の機能はアドオンで作られるため、アプリ担当が必要なインターフェース機能を設計・開発します。
対向システムとどの連携方式でインターフェースするのか、アプリ担当とBasis担当が一体となり確認する必要があります。

ジョブ

ジョブとは、プログラムの自動実行を管理する機能です。
例えば、以下がジョブの例として挙げられます。

  • 夜間のシステムバックアップ
  • 月次締め処理
  • 早朝のMRP実行
  • 条件を満たした伝票のステータス一括更新
  • 5分間隔のインターフェース連携

ジョブは、SAP上ではトランザクションコード:SM36(バックグラウンドジョブのスケジュール)で設定します。
バックグラウンドジョブとは、ユーザー側(表側)の画面ではなく、サーバ側(裏側)で自動で実行するジョブのことです。

トランザクションコード:SM36では、時間トリガー・前提ジョブ完了トリガー・イベントトリガーといった設定ができますが、ジョブとジョブの繋がりが分からないため、多くの企業ではジョブ管理ツールを用いてジョブを管理します。

ジョブはどのプログラムを、いつ、どんな条件で実行するかはアプリ担当が決めますが、ジョブ全体の管理・監視はBasisが担当することが多いです。

アーカイブ

アーカイブとは、ストレージ容量が逼迫しないように古いデータを外に出すことを指します。
データを保管するストレージの容量には上限がありますが、監査の観点から10年間はデータを保管しなければならないなど、古いデータの保管も企業によっては要件として挙がってきます。
そのため、古いデータは削除するわけにはいかず、SAP外のシステムへ移管する必要があります。

SAP標準にも、アーカイブ機能が備わっており、以下の手順でアーカイブをします。
 1.対象の古いデータをアーカイブファイルに書き込み
 2.アーカイブファイルを他システムへ移管
 3.書き込んだデータをSAPテーブルから削除

アーカイブは、トランザクションコード:SARAから実行します。
また、トランザクションコード:SAREから、SAP外に退避させた古いデータをSAP上で参照することができます。

アーカイブは他システムへデータを退避させるため、Basis担当がアーカイブ作業をすることが多いですが、どのデータをアーカイブするのか、アーカイブすることで他データに影響がないか、アプリ担当が調査をする必要があります。

帳票

帳票とは、顧客や社内向けに伝票を紙・PDFに出力する機能です。
帳票をイメージしにくい方は、ネットショッピングで買った商品と一緒に届く紙を思い出してください。
あの紙が出荷伝票の帳票となります。

帳票を作るには、帳票作成(どのような方式で帳票を出力するか)と帳票設計(どのデータをどんなレイアウトで帳票に載せるか)という2つの業務があります。

帳票作成には、SAP標準帳票とアドオン帳票の2つの方法があります。
SAP標準帳票とは、SAPが標準で用意した帳票フォーマットに合わせて、スプールに出力する方法です。
例えば、入出庫伝票であれば、トランザクションコード:MB90からSAP標準フォーマットで出力することができます。
しかし、SAP標準帳票では、ユーザーが見たい項目が無い、スキャンで読み取るためのバーコードが無いなどユーザー要件に合致しないことが多いです。

もう1つがアドオン帳票で、アドオン開発によりユーザー要件に合わせた帳票を作成することができます。
帳票のアドオン開発方法は、SAPscriptとSmart Formsの2種類があります。
SAPscriptは従来からある帳票アドオン開発機能で、Smart FormsはSAPscriptの後継の帳票アドオン開発機能です。
Smart Formsの方がメンテナンスがしやすく、機能も豊富なため、新規開発では、Smart Formsが使われることが多くなっていますが、運用保守ではSAPscriptをメンテナンスすることもまだあります。

帳票自体は、アプリ担当がユーザーとどのような帳票を作るのか検討し、設計・開発します。
開発した帳票を、どのプリンタにどのような方式で出力するかは、Basisが担当することが多いです。

権限

権限とは、ユーザーが利用する機能を制御・管理する機能です。
SAPの権限管理では、以下の2つを制御することができます。

  • トランザクションコード(メニュー)
  • 登録・変更・照会・削除

例えば、このような設定ができます。
 担当者:発注伝票の登録・照会
 上 長:発注伝票の登録・伝票承認(変更)・照会・削除

SAPの権限設定では、細かい制御が可能です。
しかし、ガチガチに権限制御すると、担当者が休暇や人事異動があった際に、業務が回らなくなったりすることがあります。
そのため、業務が回るレベルのメンテナンスのしやすさを保つことも、権限設計でのポイントとなります。

権限でどのような制御を行うかは、アプリ担当がユーザーと要件定義で検討します。
権限の設定・ユーザーへの割当は、Basis担当が統括して管理することが多いです。

まとめ

クロスアプリケーション(CA)は、各アプリ領域横断の機能で、アプリとBasisの中間の機能です。
SAPのスキルを身に付ける上で、なかなかフォーカスが当てられない機能ではありますが、SAPプロジェクトを推進する上では欠かせない機能です。

Basisからアプリ領域へスキルの幅を広げていくためには、まずはクロスアプリケーションのスキル・ノウハウを身につけることが、ファーストステップになります。
Basisのスキル・ノウハウを活かしつつ、アプリ領域横断タスクを経験することで、Basisコンサルタントとしてもキャリアの幅が広がります。

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