マスタシステムを一括で変換する方法
本記事ではSAP Basis向けにマスタシステムを一括で変換する方法(SAP Note 2690211 – Mass change of Original System)について解説していきます。
マスタシステムとは
マスタシステム(*)とはリポジトリオブジェクトが開発されたシステムのことです。
* 日本語ではマスタシステムと表記されていますが、英語ではOriginal Systemと表記されています。
オブジェクトディレクトリエントリの照会からオブジェクトのマスタシステムを確認することができます。
カスタマが開発したアドオンオブジェクトのマスタシステムはカスタマの開発機のSID(システムID)になっていますが、SAPが開発したSAP標準オブジェクトのマスタシステムはSAPの開発機のSIDになっています。
なぜマスタシステムを変換しなければならないのか?
なぜマスタシステムを変換しなければならないのでしょうか?
マスタシステムが異なるシステムでオブジェクトを変更すると仮修正扱いになるからです。
つまり、オブジェクトA(マスタシステムのSIDはSA1)をSA2のシステム上で変更しようとすると、SA1≠SA2となり、仮修正扱いで移送依頼が取得されるということです。
通常とは違う形で移送依頼が取得されるため、開発者からSAP Basisに不要な問い合わせが発生してしまいます。
マスタシステムはどの場合に変換しなければならないのか?
マスタシステムはどの場合に変換しなければならないのでしょうか?
システムコピーを実施した場合は必ず変換しなければならないのでしょうか?
マスタシステムを変換するケースは異なるSIDで開発機をシステムコピーで構築するケースです。
検証機や本番機の場合はマスタシステムを変換する必要はありませんし、同じSIDで開発機をシステムコピーで構築する場合はSIDが変更とならないため、マスタシステムの変換は必要ありません。
マスタシステムを一括で変換する方法
マスタシステムを一括で変換する手順は下記の通りです。
SAP Note 2690211 – Mass change of Original System に画面が掲載されていますので、ご確認ください。
1.トランザクションコード:SE03を実行する
2.オブジェクトディレクトリエントリ変更を選択する
3.マスタシステムに「変換前のSID」を入力して実行する
3.マスタシステムを変換するパッケージを選択する
4.コマンドフィールドに「MASS」を入力して実行する
5.オブジェクトディレクトリ変更画面でマスタシステムに「変換後のSID」を入力して実行する
マスタシステムを変換するケースは数多くありませんので、忘れずに後処理で実施するようにしてください。