SAP導入のメリットとは!? 導入の流れや費用を解説

SAPシステムは世界中の企業に幅広く使われています。
そういう情報を聞いて、これから自社にSAPを導入しようか検討している会社もあると思います。

しかし、実際に自社にSAPを導入しようとしたとき、

  • SAPを入れるメリットは何なのか?
  • SAPを入れる手順はどういうものなのか?
  • SAPを入れるのにどれくらいの費用がかかるのか?

こういうことが気になると思います。

本記事では、SAP導入のメリット・導入の流れ・導入にかかる費用を体系立てて解説していきます。

目次

SAP導入のメリット

SAPは、ERP(Enterprise Resource Planning)システムをメインにシステムを販売しています。
ERPとは会社の基幹業務(会計・調達・販売・生産・物流)を担うシステムです。

SAP ERPを導入することによるメリットは、以下の3つがあります。
 1.業務プロセスの標準化
 2.データの一元管理
 3.作業履歴の可視化

それでは1つ1つのメリットについて、具体的にお話していきます。

業務プロセスの標準化

SAP ERPはグローバルスタンダードシステムと言われており、世界中の企業で幅広く使われています。
つまり、SAP ERPは世界標準の業務プロセスに合わせて作られたシステムということです。

日本企業は、モノづくり大国として各社が現場改善を繰り返し、成長してきました。
一方で現場改善による個別最適を進めてきた結果、属人化が進み、若手への引継ぎが上手くいかない、他の国内・海外拠点への展開に大幅に時間がかかるといったデメリットもありました。

しかし、SAP ERPはグローバルスタンダードシステムであることから、業務プロセスをSAP ERPに合わせることにより、業務を標準化・効率化をすることができます。

今後、若手人材の不足・グローバル化の問題が顕著になってくるため、SAP ERPを導入し、業務を標準化するメリットは大いにあります。

データの一元管理

SAP ERPは、会計・調達・販売・生産・物流といった基幹業務をカバーしています。
これまでは、それぞれの業務領域で、それぞれが使いやすいシステムを使ってきました。
そのため、システム間のデータの連携・反映に時間がかかっていました。

しかし、SAP ERPは会計・調達・販売・生産・物流といった領域を一元管理しているため、例えば、原材料を調達し、入庫すると在庫が増え、買掛金が計上されます(在庫データと会計データの反映が同時に行われる)。
そのため、システム間の不整合がなくなり、常にリアルタイムで正しいデータの状態が保持されます。

近年はビッグデータ解析による、スピーディーな経営判断が重要だと言われています。
ビッグデータ解析をするためには、企業データがリアルタイムで常に整合性が取れた状態であることが大前提になるため、データの一元管理ができるということはSAP ERPを導入するメリットと言えます。

作業履歴の可視化

作業履歴は、監査の観点から、「だれが・いつ・どんなデータを」、登録したのか・変更したのかを把握できる必要があります。
特に会計領域では、金額の変更や削除などが自由に行われては、不正の元となります。

その点、SAP ERPでは、伝票とユーザIDを紐づけ、

  • だれが:どのユーザが
  • いつ:日時
  • どんなデータを:伝票を

登録・変更したのかを、管理できます。

また、SAPでは業務プロセスの標準化により、伝票間の紐づけの履歴も参照できます。
例えば、どの受注伝票から出荷伝票、請求伝票が登録されたのかをトレースすることができます。
伝票に間違いがあった場合、参照元の伝票がどれなのか、いつ・誰が登録した伝票なのかをチェックすることができます。

SAP導入の流れ

SAP ERPの導入の流れは、大きく次の6ステップに分けることができます。
 1.導入目的の明確化
 2.製品・ベンダー選定
 3.要件定義
 4.設計・開発
 5.テスト
 6.リリース・運用

それでは1つずつ具体的にどのようなことを実施するのか見ていきましょう。

導入目的の明確化

自社内でERPを入れる目的を明確化します。
このフェーズでは以下の3つを深掘りします。

  • 現状の課題の洗い出し(As-Is)
  • 将来どういうことをしていきたいか要望の洗い出し(To-Be)
  • どの課題・どの要望を実現していくか検討(選択と集中)

現状の課題の洗い出し(As-Is)
まずは現状の課題の洗い出しを、部門問わず、社内全体で実施します。
洗い出した課題を業務領域ごとに分類し、対応すべき課題の優先順位づけを行います。
予算的にすべての課題を対応できるわけではないため、優先度の高い課題を明確化しておきます。

将来どういうことをしていきたいか要望の洗い出し(To-Be)
続いて、ERP導入により将来会社をどうしていきたいかを検討していきます。
具体的には、

  • ERPをグローバル展開し、社内標準システムにしたい
  • 各事業部門のデータを一元管理し、高度なデータ分析とスピーディーな経営判断の基盤を構築したい
  • 個別最適の進んだ業務を標準化したい

といった要望を挙げていきます。

どの課題・どの要望を実現していくか検討(選択と集中)
すべての課題を対応したり、すべての要望に対応したりするには、コストがかかります。
社内の予算は限られています。
そのため、ERP導入プロジェクトで対応すべき課題・要望を選定していきます。
ここで、あれもこれもと盛り込むと、要件定義フェーズで課題と課題がバッティングし、先に進まない状態になってしまうため、課題や要望同士の整合性も整理しておく必要があります。

製品・ベンダー選定

ERP導入の目的が明確になれば、どのベンダー(ERPを導入してくれる会社)にするか、どの製品(ERP)にするかを選定していきます。
ベンダー・製品を選定するには、次の2つの手順を踏みます。
 1.RFI(情報提供依頼書)
 2.RFP(提案依頼書)

RFI(情報提供依頼書)
RFIは、ERPを選定するために、ERPを扱っているベンダーの情報提供を依頼します。
そのため、RFIにはERPを導入する目的を記載し、ベンダー各社に情報提供をしてもらうように依頼します。
RFIを受け取ったベンダーから、

  • 会社情報
  • ERPの製品情報
  • 導入実績

などの情報提供をもらいます。
RFIは参考情報的な位置づけのため、1~2週間くらいで返答をもらうことが通常です。

RFP(提案依頼書)
RFPは、ERPを扱っているベンダーに、導入の提案を依頼します。
提案にあたり「導入目的の明確化」で整理した、課題・要望を詳細に盛り込んだ資料を、ベンダー各社に送付します。

通常、RFPは複数のベンダーに送付し、コンペ形式でどのベンダーに発注するのか決定します。
どの会社にもシステム導入や運用保守をメインで担当している既存のプライムベンダーがあることが多いため、プライムベンダーやERP導入実績が豊富なベンダーを中心に3~5社程度に送付することが一般的です。
大企業であればERP製品はSAP ERPということになりますが、中小企業であれば、SAP ERP以外の日本国内のERP製品、海外のクラウドERP製品なども選択肢として検討の余地があるため、幅広い提案が受けられるように、これらのERP導入に強みを持つベンダーを候補に入れるというのもポイントになります。

RFPには、以下のような情報を記載します。

  • スケジュール
  • 予算
  • プロジェクトの体制
  • As-Is・To-Be像
  • スコープ
  • 機能要件
  • 非機能要件(セキュリティやパフォーマンスなど)

その後、ベンダーからの提案書を受領後、提案説明会を開催します。
各ベンダーに提案頂いた後、最終的にどのベンダー・製品にするかを社内で検討します。
RFPの資料作成や各ベンダーの提案の評価・採点を実施することはユーザ企業では難しい場合もあるため、公平・中立な立場のコンサルティングファームを自社の補佐役とするケースも多々あります。

要件定義

ここからはベンダーを含めたプロジェクトのスタートです。
まずはTo-Be(将来像)を描くためのAs-Is(現状)および要件を整理していきます。

SAP ERPはパッケージシステムであるため、ユーザ要件がSAPにフィットするのか、ギャップなのかを整理していきます。
ギャップとなったものを、「SAPに合わせるために業務変更」をするのか、「業務を変えずにアドオン(追加機能開発)」とするのかを整理していきます。

要件定義の最後には、業務プロセスごとに「SAP標準機能を使う or アドオンを使う」 を明確にした、To-Be業務プロセスフローを作成していきます。

設計・開発

設計・開発フェーズでは、要件定義フェーズでギャップ(SAP標準機能に合わない)となった業務プロセスで、アドオンで対応するとなった機能に対して、設計・プログラム開発を実施していきます。

設計は、要件定義で明確にした業務要件に合わせて、ベンダーを中心に進めます。
ユーザ企業側はベンダーが作成した設計書をレビューし、機能要件を満たしているか、ロジックに誤りがないか確認します。

レビューが終われば、ベンダー側でプログラム開発を進めます。

テスト

設計・開発が終わると、テストフェーズに入ります。
テストは

  • 単体テスト(ベンダーメイン)
  • 結合テスト(ベンダーメイン)
  • 総合テスト(ベンダーメイン)
  • 受入テスト(ユーザ-メイン)

の4つを実施します。

単体テスト(ベンダーメイン)
開発フェーズで開発したプログラムの動作確認をします。
単体テストは、ベンダー側のみで確認し、バグがあれば、プログラムを修正します。

結合テスト(ベンダーメイン)
結合テストは、複数のプログラムを結合した状態でそれぞれが設計書通りにきちんと動作するか確認します。
設計書を基にベンダーが事前にどういうテストをするかというテストシナリオを作成し、テストを実施します。
ユーザ企業側は、テストシナリオに抜け漏れがないか、テスト結果をレビューします。

総合テスト(ベンダーメイン)
総合テストでは、要件定義フェーズで作成した業務プロセスフローを頭からお尻まで実施します。
業務プロセスフローをベースにテストシナリオをベンダーが作成し、SAP標準機能・アドオン機能が問題なく実施できるかテストします。
ユーザ企業側は、テストシナリオに抜け漏れがないか、テスト結果をレビューします。

受入テスト(ユーザ-メイン)
総合テストが終われば、ユーザ企業側で受入テストを実施します。
受入テストは、総合テストで使用したテストシナリオや、実際の業務に合わせてSAPを使って問題なく業務できるかをテストします。

リリース・運用

テストが完了し、問題なく稼働ができると判断されれば、リリース(本番稼働)をします。
リリースの判断基準は、

  • システム的に大きなバグが残っていないか
  • 業務的に運用が回るか

という観点で判断します。

リリース後は、実際に現場ユーザも含め、実業務をSAPでするため、システムの使い方や障害の問い合わせが殺到することが予想されます。
そのため、リリース後2、3カ月はベンダーに残ってもらい、障害対応や問い合わせ対応を実施してもらいます。

またリリース数カ月後に、当初立てた「ERP導入の目的」を実現できているかの振り返り・評価を関係者全員で行います。
そして、今後のさらなるSAPの活用・展開や、今後のITシステムの拡張についても検討をしていきます。

SAP導入にかかる費用

SAP ERP導入には莫大な費用がかかります。
他社事例を見ると、最低でも1億円から最大で数百億円かかるケースもあります。
では実際にどういう費用がかかるのか、費用を抑えるポイントはどこなのかを解説していきます。

SAP導入費用の内訳

まずはSAP ERP導入費用の内訳を見ていきましょう。
導入費用は、主にこちらの4つに分類されます。

項目説明
ハードウェア(オンプレミスの場合)
 ・サーバ購入費用
 ・サーバセッティング費用
 ・サーバライセンス費用
(クラウドの場合)
 ・サーバライセンス費用
ソフトウェア
ライセンス
・SAPの使用ライセンス費用
・その他周辺システム・ツールのライセンス費用(ETL、RPA、BIなど)
導入ベンダー・要件定義~リリースまで対応してもらうSAPベンダー
アドオン開発・アドオンの設計、開発、テスト費用

ハードウェア費用のオンプレミス・クラウドの違い

ハードウェアは、オンプレミス・クラウドから選択できます。
オンプレミスとは、自社でサーバを置き、自社で管理することです。
クラウドとは、Amazon(AWS)、Microsoft(Azure)、SAPが管理するサーバを借りて、使用することです。

オンプレミスのメリットは、自社でサーバを購入し管理するため、すべて自社に合わせたセッティングができることです。
一方、デメリットは、サーバ選定・購入・セッティングを自社でする手間があり、一度購入するとサーバのスペック変更が柔軟にできないところにあります。

クラウドのメリットは、すでにAmazon(AWS)、Microsoft(Azure)、SAPなどが管理するサーバを借りるため、セッティングまでの時間が1日あれば完了します(オンプレミスの場合、選定からセッティングまで2、3カ月かかることもあります)。
また、使用ユーザ数が増えてきたり、機能拡張をしたりすると、サーバスペックが足りなくなってきますが、クラウドであれば、サーバスペックをアップ(スケールアップ)したり、サーバ数を追加(スケールアウト)することが簡単にできます。
一方、デメリットは、他社でサーバを保管・管理しているため、セッティングに融通が利かないこともあります。
近年では、クラウドの方がスピーディーにプロジェクトが開始でき、スペックの変更が容易なため、クラウドを選択する企業が増加しています。

実際にどれくらい費用がかかるのか

SAP ERP導入には1億~数百億かかると言われています。
なぜ会社によって、これほどまでに振れ幅が大きいかという理由は、3つあります。
 1.スコープ・導入期間
 2.アドオン開発の量
 3.ハードウェア

スコープ・導入期間
スコープとは、SAP導入の範囲です。
スコープには2つあります。

  • SAP機能
  • 導入拠点

SAP機能とは、SAP ERPの会計のみを導入するのか、会計・販売・調達・生産・物流などすべての機能を導入するのかで、導入期間・検討範囲も変わってくるため、費用に大きく影響します。
導入拠点は、国内1拠点のみなのか、国内複数拠点・海外拠点も含めるかで、導入期間・検討範囲も変わってくるため、こちらも費用に大きく影響します。

アドオン開発の量
要件定義で業務をSAP標準に合わせることができれば、アドオン開発が少なくなりますが、業務を変えずにアドオン開発ばかりした場合、設計・開発・テストの期間・費用が増大します。
また、アドオン開発が多いと本番稼働後のシステム運用フェーズでバグ対応が多くなるなど保守費用が増加します。

ハードウェア
ハードウェアでオンプレミスを選択するかクラウドを選択するかで費用が大きく変わってきます。
実際にどちらが安いのかは自社の環境や要件次第で一概に言えませんが、ハードウェアも導入費用の大きな割合を占めます。
サーバ導入費用、そして本番稼働後の保守費用まで含めて、トータル費用を試算する必要があります。

クラウドの場合は膨大なサーバを所有することによるスケールメリットが出せるため、金額勝負になると自社で構築するオンプレミスでは金額面で全く歯が立ちません。
ですので、オンプレミスよりもクラウドで構築した方がハードウェアにかかる金額を抑えることが可能になります。

SAP導入は最適なパートナーに任せましょう

SAP ERPを導入することにより、業務プロセスの標準化ができ、データの一元管理ができるため、業務効率を大幅にアップさせることができます。
またSAP ERPの導入効果を最大限に引き出すためには、プロジェクト開始時に導入目的を明確にすることです。
会社にどういう課題があり、SAP ERPを導入することにより、どういう会社にしていきたいかを明確にしておくことで、プロジェクトとして軸ができ、ベンダーも軸に沿った形でプロジェクトを進めることができます。

導入費用については、スコープ・導入期間、アドオン開発の量・ハードウェアによって大きく異なりますので、自社のケースについて気になる方は、グランパスコンサルティングまでお気軽にお問い合わせください。

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